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2023/04/28

「彼女は頭が悪いから」……読んでしまった!

明日からゴールデンウイークなんですね。今年は休みをつなげると大型になるし、何と言ってもコロナの5類も目前で、出かけるぞ~みたいな勢いがあります!まあ関係ないけどネ。。。

私は作家の姫野カオルコさんの大ファンで(偶然高校の先輩)、最近の本は出たらすぐ買うようにしてますが、この「彼女は頭が悪いから」だけは、買わなかったと言うか、買えないでいました。
何せ内容が2016年に東京で実際に起こった、当時東大生と東大院生であった男子学生5人が、21歳の女子大生に対して強制猥褻の罪名で逮捕された事件を元に書かれていると知ってたからです。絶対辛い内容に決まってるがな。

でも4年ほど経ち、怖々図書館で借りました。本の出だしは、横浜市生まれの美咲というクリーニング店が実家の女の子の平和な日常と、平行して東京渋谷のエリート一家に生まれ、その後東大の理Ⅰへ進む、つばさという男子学生の家族や周りの関係等が淡々と描かれていきます。でもねジェットコースターがカタカタと頂上を目指して上がる時みたいにゾッとするような怖さがあるんですよ。とにかく、全編作家の姫野さんの冷静過ぎる怒りに満ちております(゚△゚;ノ)ノ 

その後女子大生となった美咲と東大院生となったつばさは、オクフェスというイベントで出会います。最初は微笑ましい恋愛なんですが、悲しいかな美咲はほとんど恋愛経験が無いのに対して、つばさは星座研究会などというナンパ目的のサークルを企画するような奴です。つばさに夢中になる美咲に対して、段々と距離を置き出すつばさ。そして二人が出会って半年後に事件が起こるのですが、ここからがもう読むのが辛くて(; ;)

男子学生5人は、猥褻な何をしたのか?というと、それが5人で1人を輪姦したわけでは無いのです。仲間内の飲み会に美咲を呼んだつばさに対して、仲間から「ネタ枠」と判定されたのに焦ったつばさが、元カノだと思われたくなくて、以前に撮った美咲の裸の写真をみんなに見せて「この子はノリの良い子で、何しても良いんだ」・・・みたいな事を言い出して、それならと一方的にクイズ出してドンドンお酒を飲ませて酔わせる者が出てきて、服を剥ぎ取って叩いたり暴力的になり・・・これ以上は胸くそ悪くて書きません!!2ヶ月ぶりに会ったつばさの豹変ぶりに、ショックで固まってしまっていた美咲がたまらず号泣し出すと、

「自分が輪姦されるとでも思ったわけ?あんたネタ枠ですから、だれもあんたとヤリたいなんて思ってませんでしたから。あんたの大学で、あんたの顔で、あんたのスタイルで、輪姦されるとでも思ったんですか?思い上がりですよ」
加害者の一人は言い放ったのでしたΣ(ω |||) その後の供述でも「彼女は頭が悪いから」と言ってます。 悪魔かよ!

東大生といっても真面目な人は一杯いるのは解ってるけど、この5人の親はそれぞれ上級公務員、テレビのコメンテーター、地方の名士、外資系企業の役員、教員(この子だけは、バイトに明け暮れてる)一人を除いて、裕福な家の子ばかりで、東大に合格した瞬間から親に、「東大というだけて寄ってくる女に気を付けろ」とか「避妊だけはちゃんとしないとダメよ!」といわれて育ってるのです(汗)

泣きながら下着も着けず裏向けに服を着て、追ってくる男達を振り切り、裸足で部屋を飛び出した美咲の通報で警察が駆けつけて事件が明るみになるのですが、それでも報道を見てテレビのコメンテーターは
「東大生でなければこれほど大きく報じられなかったのでは?」なんて言うし、ネットでは「被害者女、勘違いしてたことを反省する機会を与えて貰ったと思うべし」勘違い女って・・心ないコメントで溢れます。この本に関しても「これは偏見で東大生を貶めようとする本だ」等、そこじゃないでしょう!

冷たくされて、すがりつく気なんてないけど、まだつばさが好きという美咲の気持ちは女性だったら共感出来ると思う。それに結構良い高校出ていて、彼女はバカでもないです。ただ家庭的にはエリートとは縁が無かったし、性格的に言いたいこと言えるタイプでもなかった。せめてもう少し自分にプライド持って欲しかったなぁ。

一方東大生の母親達の反応が凄まじのですよ!大事なうちの息子ちゃんが、とんでもないハニートラップにお金ほしさに事件にされた!みたいな感じ。被害者女性の要求はただ、「大学を自主退学する事」たったそれだけだったのに。。。
5人のうち2名は素直に示談に応じて自主退学し、不起訴になります。退学といっても5人のうち3人はもう卒業していて院生だし痛くも痒くも無いはずなのに、残りの3人は拒否して、公判に付された後、退学処分になり執行猶予付きの有罪になりました。
どちらにせよ全員が全く反省してないし、運が悪かったとしか思ってない(怒)

その後の親の対応も早いんだわ。頭は良い子達なので、自主退学した1人は海外の有名大学へ入って学歴ロンダリング、一家で名前を変えた家も。2人はエンジニアコンサルタントとして活躍。不起訴となった1人は名前を変え、エンジニアとして活躍中。それぞれうまくダメージを回避して暮らしてる模様。

私は美咲の悔しさに共感しながらも、自分にも息子がいるので、加害者の愚かとも思える母親達の反応も身につまされました(°_°)
誰の心にも自分に自信が無い美咲の部分と、どこかで他人を見下してる傲慢なつばさがいるのかも知れない。もし私に娘がいて大学生になったら絶対に読ませたいです!!!息子にも、読んで欲しい!大学生の子供を持つ親御さん達にも。全部が実話じゃ無いのは解ってるけど、作者の姫野さんは裁判も傍聴されたらしいです(汗)迫力のある力作でした。

今は何の罪の意識も感じていない5人。でもいつの日か、思い知らされる日が絶対来ると思う。今生か来世か知らんけどサ。
何故かこの本を読んだ後、古~い映画の「道」を思い出しましたhttps://www.bing.com/videos/search?&q=%e6%98%a0%e7%94%bb%e9%81%93&docid=603541169673226654&mid=9C92A48AB88657EB4A719C92A48AB88657EB4A71&view=detail&FORM=VDQVAP&rvsmid=77777EFA7767521AA68177777EFA7767521AA681&ajaxhist=0

旅芸人のザンパノに、親にお金で売られた知的障害者だけど天使のようなジェルソミーナ。二人は一緒に旅を続け、自分なりの幸せを見つける彼女だが、野蛮なザンパノには物のように扱われるばかり。旅の途中にジェルソミーナが好きになった男性が気に入らず、喧嘩したザンパノは、結局殺してしまう。
悲しくて心を病んだジェルソミーナが邪魔になり、道ばたに置き去りにしたザンパノ。しかし年を取り、ジェルソミーナが良く歌っていた歌を聴いたザンパノが最後に理解するのは・・・・・・という名画です。音楽も泣けます。

絶対的に自分より弱い立場の相手にしたことは、結局いつか自分にそっくり返ってきますよ。というお話です。

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コメント

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コメントありがとうございました!

本読んで辛すぎて、書いてしまいました(; ;)コメントありがとうございました!